Social Securityの年金は、62歳から70歳の間でいつ受け取り始めるかによって、毎月の金額が一生変わります。
早く受け取るか、遅らせて増やすか。夫婦の場合の考え方も含めて整理します。
この記事のポイント
- 62歳開始はFRA比30%減、70歳開始は24%増(FRAが67歳の場合)
- 夫婦は高収入側を遅らせると遺族給付も増える
- 損益分岐は80代前半。健康状態も考えて判断する
1. 62歳から受取可能だが、最大30%削減される
- 62歳受給はFRA受給額より永久30%削減(FRA比70%)で固定され、後から増額不可
- 受給開始が早いほど毎月の額は減り、70歳開始の月額は62歳開始の約1.77倍になる(FRAが67歳の場合)。自分の見込み額はSSA.govで確認する。
- FRA前に働きながら受給すると、年収が一定額(2026年は$24,480)を超えた分について、$2ごとに$1が支給停止になる。FRA到達後は制限なし。
2. 満期退職年齢(FRA):1960年以降生まれは67歳
- SSA.gov(https://www.ssa.gov/myaccount/)で自分のFRAと3パターン(62歳・FRA・70歳)の推計受給額を確認する
- ログイン不要のクイック試算:https://www.ssa.gov/OACT/quickcalc/
- Deemed Filing制度(1954年1月2日以降生まれ全員適用):退職給付を申請すると配偶者給付にも同時申請したとみなされ、受取額は高い方が自動選択される。一方のみ遅延させる戦略は使用不可
3. 70歳まで遅らせると満期比で24〜32%増額(毎年8%増)
- FRA(67歳)から70歳まで3年間遅延すると毎年8%加算されFRA比124%になる
- 70歳開始の月額は62歳開始の約1.77倍(FRAが67歳の場合:62歳開始は70%、70歳開始は124%)。
- 投資収入・年金・利子収入は早期受給時の収入制限の対象外(これらが主な収入源なら早期受給の削減リスクを受けない)
4. 夫婦戦略:低所得者が先に受取り、高所得者は70歳まで遅延
- 低収入側が先に受給開始→世帯収入を確保しながら高収入側の遅延クレジット(毎年8%増)を積み上げる
- 旧戦略「File and Suspend」は2016年4月のBipartisan Budget Act of 2015改正により廃止。現在は夫婦それぞれの受給開始時期を独立して最適化する
5. 高所得者が先に死亡した場合、配偶者は高い遺族給付を受ける
- 遺族給付は亡くなった配偶者が受け取っていた(または受け取るはずだった)給付額がそのまま引き継がれる
- 高収入側が70歳まで遅延して受給額を最大化しておくと、早期死亡時でも生存配偶者の遺族給付が最大化される
- 夫婦のどちらが長生きするかに関係なく、高収入側の遅延は世帯の長期受給総額を増やす安全策になる
6. 損益分岐は80代前半。それより長生きすれば遅らせる方が有利
- 62歳開始と70歳開始の累計受給額が逆転するのは、物価調整を考えない単純計算でおよそ80〜81歳。運用益や税金を考慮すると80代前半になることが多い。
- SSA.govの試算ツールで自身の個別ブレークイーブン年齢を確認する
- 健康状態良好・長寿家系 → 遅延有利 / 深刻な持病あり → 早期受給が合理的な場合もある
まとめ
社会保障(Social Security)の受給開始時期戦略で押さえておきたいのは、次の3つです。
- 62歳開始はFRA比30%減、70歳開始は24%増(FRAが67歳の場合)
- 夫婦は高収入側を遅らせると遺族給付も増える
- 損益分岐は80代前半。健康状態も考えて判断する
全部を一度にやる必要はありません。まずは自分に一番効きそうな1つから始めてみてください。
※ 本記事の数値は2026年時点の公開情報(IRS・SSA・BLS・各社サイトなど)にもとづく目安です。税制・金利・特典内容は変わることがあるため、最新情報は各公式サイトで確認してください。税務・投資・法律・医療に関する判断は、必要に応じて専門家に相談してください。