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確定申告を安く済ませる方法|無料で申告できる条件と在米日本人の落とし穴

2026年9月22日公開

確定申告のために毎年ソフトや税理士にお金を払っている方は多いと思います。ただ、条件を満たせば連邦税の申告は無料でできます。しかも選択肢は1つではありません。

IRSのFree FileはAGI(調整後総所得)$89,000以下が対象です。所得がこれを超えても、記入式のFree File Fillable Formsなら所得制限なしで使えます。所得$69,000以下なら、人が申告書を作ってくれる無料サービスもあります。

この記事では、無料で済ませられる条件を所得別に整理し、そのうえで在米日本人が見落としやすい申告義務を扱います。こちらは節約というより、知らないと罰則を受ける話です。

この記事は費用を抑える方法の情報整理です。税務アドバイスではありません。制度の条件は毎年変わります。実際の申告前にIRSの公式サイトで最新の条件を確認し、判断に迷う場合は税理士・会計士(CPAやEnrolled Agent)にご相談ください。

この記事のポイント
目次
  1. 無料で申告する4つの方法
  2. 自分はどれが使えるか
  3. 期限・還付・払えないとき
  4. 取り戻せるお金
  5. 在米日本人の申告義務
  6. 申告シーズンの詐欺

1. 無料で申告する4つの方法

IRS Free File(ガイド型ソフト)

提携する税務ソフトを無料で使える仕組みです。

質問に答えていく形式なので、税務の知識がなくても進められます。

Free File Fillable Forms(記入式)

同じくIRSの仕組みですが、性格が違います。

所得が$89,000を超えている人の受け皿がここです。申告内容が単純で、自分の数字を把握しているなら、有料ソフトを買わずに済みます。

VITA(人が作ってくれる)

IRSの認定を受けたボランティアが、申告書を無料で作成してくれる制度です。

「英語が限定的な納税者」が対象に含まれている点は、在米日本人にとって使いやすい条件です。

TCE / AARP Tax-Aide(高齢者向け)

MyFreeTaxes(United Way)

州税まで無料なのが利点です。Free Fileは州税の扱いがソフト次第なので、州税の申告が必要ならここを先に見る価値があります。

2. 自分はどれが使えるか

状況使える選択肢
所得 $69,000以下VITA(人が作成)、MyFreeTaxes(人に依頼可)、Free File
所得 $89,000以下IRS Free File、MyFreeTaxes(自分で申告)
所得 $89,000超Free File Fillable Forms(州税は別途)
60歳以上TCE / AARP Tax-Aide
英語に不安があるVITA(英語が限定的な納税者が対象に含まれる)

※ 有料ソフト(TurboTax、H&R Blockなど)の価格帯は、今回の調査では確認できませんでした。無料の選択肢で足りるかを先に確かめてから、必要な場合に比較してください。

※ IRSが提供していたDirect Fileについては、2026年時点の提供状況を今回の調査で確認できませんでした。IRSの公式サイトで最新の状況をご確認ください。

3. 期限・還付・払えないとき

延長は「申告」の延長であって「納付」の延長ではない

Form 4868で申告期限を最大6か月延ばせますが、納付の期限は延びません。期限までに納税しないと利息が発生します。IRSも「申告期限の延長は納付期限の延長ではない」と明記しています。

延長するなら、概算で払っておくのが正しい使い方です。

なお海外に居住している米国納税者は自動的に2か月の延長(通常6月15日)が認められ、Form 4868でさらに4か月延ばせます。日本に長期滞在している方は確認してください。

還付までの日数

申告方法還付までの目安
電子申告(e-file)約3週間
紙の申告受理から6週間以上

この差が、還付金の前払いサービスに手を出す必要がない理由です。3週間待てば全額受け取れます。

払えないときは分割納付

プラン設定手数料
短期(180日以内)$0
長期・口座自動引き落とし$29(低所得者は免除の可能性)
長期・自動引き落とし以外$69(低所得者は$43、条件により払い戻しの可能性)

いずれも完済まで延滞税と利息が加算されます。ただし払えないからと申告しないのが最も損です。短期プランなら手数料はかかりません。

4. 取り戻せるお金

勤労所得税額控除(EITC)

働いている低・中所得層向けの控除です。還付として現金が戻ります。2025年分の数字です。

子どもの数最大控除額所得上限(単身・世帯主等)所得上限(夫婦合算)
なし$649$19,104$26,214
1人$4,328$50,434$57,554
2人$7,152$57,310$64,430
3人以上$8,046$61,555$68,675

投資所得が$11,950を超えると対象外になります。

児童税額控除(Child Tax Credit)

5. 在米日本人の申告義務

ここからは節約の話ではありません。知らないと罰則を受ける部分です。

FBAR(海外口座の報告)

暦年中のいずれかの時点で、海外の金融口座の合計残高が$10,000を超えたら報告義務があります。口座ごとではなく合計です。日本の銀行口座、証券口座、一部の保険も対象になり得ます。

日本の実家の口座に名義が入っている、日本で働いていた頃の口座が残っている、といったケースで基準を超えることがあります。一度でも$10,000を超えた瞬間があれば対象です。

※ 罰則の具体的な金額は、今回の調査では確認できませんでした。IRSのPublication 5569で案内されています。

Form 8938(FATCA報告)

FBARとは別の制度で、基準額も違います。両方に該当することもあります。

居住地・申告区分年末残高年中のピーク
米国内・独身$50,000超$75,000超
米国内・夫婦合算$100,000超$150,000超
米国外居住・独身$200,000超$300,000超
米国外居住・夫婦合算$400,000超$600,000超

「米国外居住」と判定されるには、直近12か月のうち330日以上の海外滞在が必要です。日本に一時帰国した年は判定が変わり得るので注意してください。

二重課税を避ける2つの制度

制度内容
外国所得控除(FEIE)海外で稼いだ給与等を一定額まで除外。Bona Fide Residence Test、Physical Presence Test(12か月中330日以上の海外滞在)、または租税条約の適用が必要。年金や社会保障給付は対象外
外国税額控除(Foreign Tax Credit)日本で納めた所得税を米国の税額から控除(Form 1116)

この2つは併用に制限があります。FEIEで除外した所得に対応する外国税額は、外国税額控除として請求できません。どちらが有利かを比べて選ぶ必要があります。

日米間には租税条約があり、二重課税の回避を目的としています。IRSの公式サイトに条約本文と議定書のPDFが掲載されています。

※ FEIEの2025年分・2026年分の控除上限額は、今回の調査では確認できませんでした。毎年インフレ調整で変わるため、IRSの該当ページでご確認ください。

6. 申告シーズンの詐欺

IRSが挙げる詐欺の特徴は3つです。

  1. 予期しない連絡が来る
  2. 急かす、脅す
  3. 還付金や控除を持ちかける

具体的な手口として、SNSでW-2を改ざんさせて虚偽の還付を狙わせるもの、税務専門家を装って還付金を自分の口座に振り込ませるもの、電話で税の滞納を装いギフトカードや暗号資産での即時支払いを要求するものが報告されています。

IRSがメールで連絡を取ることはありません。IRSを名乗るメールは詐欺と考えてください。

対策としては、社会保障番号と税務書類を厳重に管理し、不要な書類はシュレッダーにかけ、申告ソフトで二要素認証を有効にしておくことです。被害に遭った場合は IdentityTheft.gov、または 877-438-4338(多言語対応)に報告します。

まとめ:この順番で確認する

  1. 自分の所得で無料の選択肢があるか確認する。$89,000以下ならFree File、超えてもFillable Formsがあります
  2. 州税の申告が必要なら、MyFreeTaxesを先に見る。州税まで無料です
  3. 英語に不安があるならVITA。対象条件に含まれています
  4. 払えなくても申告はする。短期の分割納付なら手数料$0です
  5. 海外口座の合計が$10,000を超えた年がないか確認する。FBARは自動延長で10月15日まで出せます

税金まわりは税金の控除で取りこぼしを防ぐ確定申告の進め方もあわせてどうぞ。法的な相談先は法的なサポートを安く受ける方法で扱っています(税務についてはLITCという無料の窓口があります)。

※ 本記事は2026年9月22日時点で確認できた公開情報(IRS、FinCEN、FTC、United Way)にもとづく整理です。税務アドバイスではありません。所得基準と控除額は毎年改定されます。EITCと児童税額控除の金額は2025年分です。申告の判断は税理士・会計士にご相談ください。文中で「今回の調査では確認できませんでした」と記した項目は、出典のある情報が取れなかったものです。推測では補っていません。

出典