アメリカで暮らしていると、言葉や文化の違い、仕事や子育て、家族と離れている寂しさなどで、気持ちが落ち込むことがあります。それでも「英語でうまく話せない」「いくらかかるかわからない」と考えて、相談をあきらめてしまう人は少なくありません。
この記事では、日本語で相談できる窓口とセラピストの料金の目安、保険の使い方、費用を抑える方法をまとめます。
この記事は医療のアドバイスではありません。死にたいと考えている、気持ちが追いつめられているなど、こころの危機にあるときは、988(無料・24時間)に連絡してください。日本語の通訳を頼めるのは電話のみです(チャットとテキストは英語とスペイン語)。今まさに自分や誰かの命や体に危険が迫っているときは、911に通報してください。
- こころの危機は988へ(無料・24時間)。日本語の通訳は電話でのみ頼める
- NYのJASSI、ボストンのJB Lineなど、日本語で無料相談できる非営利団体がある
- 日本語セラピストの自費の料金は、掲載例で1回$100〜250。保険やsliding scaleが使えるかは一人ずつ確認する
- セラピストは「自分が住んでいる州」の資格を持つ人を選ぶ
- 日本の無料チャット「あなたのいばしょ」は、海外からでも24時間使える
1. 急いでいるとき:988・911・DVホットライン
| 窓口 | 料金 | 日本語 | 連絡方法 |
|---|---|---|---|
| 988 Suicide & Crisis Lifeline | 無料。保険や支払いの情報は聞かれない | 電話なら通訳つき(240以上の言語、通訳料なし) | 電話988(24時間)。チャット・テキストは英語とスペイン語のみ |
| 911 | 通報は無料(救急車などの費用は別) | — | 電話911 |
| National Domestic Violence Hotline | 無料 | 電話なら通訳を頼める | 電話1-800-799-7233(24時間)、テキストは「START」を88788へ、チャットはthehotline.org |
988に電話して日本語で話したいときは、英語で「Japanese interpreter, please」と伝えてください。つながるまでの時間は、そのときの状況によって変わります。日本語が対象の言語として個別に書かれているわけではありませんが、240以上の言語に対応しています。テキストを使う場合は、携帯電話の通信料がかかることがあります。
DVホットラインも、電話なら通訳を頼めると案内されています。日本語で話したいことを英語で伝えてください。相手にスマホや通話の履歴を見られるおそれがあるなど、安全に連絡できないときは、公式サイトで安全な連絡方法を確認してください。
救急車やERの費用と、法律で守られる範囲は救急車・ER・Urgent Careの費用と使い分けにまとめています。
2. 日本語で無料・低額で相談できる窓口
日系の非営利団体は、セラピー(心理療法)だけでなく、生活の困りごとの相談や専門家への橋渡しもしてくれます。何から相談すればよいかわからないときの入り口になります。
| 窓口 | 地域 | 料金 | 連絡先 |
|---|---|---|---|
| JASSI(Japanese American Social Services, Inc.) | ニューヨーク | 無料(寄付は任意)。秘密を守ると案内されている | 212-442-1541 内線1、平日10時〜17時。日英バイリンガルの相談、危機対応、権利擁護、医療保険の加入相談など |
| JB Line(日系ボストニアン サポートライン) | ニューイングランド | 電話相談は無料。面談は収入などに応じる | 781-296-1800、[email protected]、平日10時〜16時(東部時間)。0〜2歳児の親のオンライン会なども無料で開催 |
| 日米カウンセリングセンター(Hamilton-Madison House) | ニューヨーク | 収入に応じて$60〜120 | (212) 720-4560。Medicaid、Medicare、各種保険、海外旅行保険が使える |
| Little Tokyo Service Center | ロサンゼルス | 公式サイトに記載なし。電話で確認 | カウンセリング 213-473-3035、代表 213-473-3030。個人・家族のカウンセリング |
| あなたのいばしょ(外務省の委託) | 海外全般 | 無料。匿名で使えると案内されている | チャット、24時間365日(talkme.jp) |
「あなたのいばしょ」は、外務省が2024年度から在外邦人の孤独・孤立の相談を委託しているNPOです。2024年度には在外邦人から4,138件の相談がありました。治療ではなく、話を聞いてもらう場所として使えます。秘密を守る範囲や例外(命に関わる場合の対応など)は、各窓口の説明で確認してください。
※ 日米カウンセリングセンターの料金と連絡先は、相談機関リスト「Group With」の掲載情報(2026年6月6日更新)です。
3. 日本語セラピストの料金の目安
日本語で話せるセラピストの料金を、相談機関リスト「Group With」の掲載情報からまとめました。掲載例では自費で1回$100〜250でした。地域や時間、セラピストによって違います。保険が使えるか、収入に応じて料金を下げる仕組み(sliding scale)があるかは、一人ずつ確認してください。
| 州 | 開業形態・場所 | 自費の料金 | 保険など |
|---|---|---|---|
| NY | 個人開業のLCSW(ロチェスター) | 60分$110(カップル$130) | BCBS、Aetna、United Health |
| NY | Transcendent Self Therapy(ブルックリン) | $250 | Aetnaのみ。sliding scaleあり |
| MA | 個人開業のセラピスト(ケンブリッジ) | $200(sliding scaleは$100から) | BC/BS、HPHC、Aetna、Cigna、United Health Care |
| CA | 個人開業のLMFT(サンディエゴ・州内オンライン) | $100 | Aetna、Blue Shield、Cigna、Optum/United Health、TriCare |
| CA | 個人開業のLMFT(州内オンライン) | $180 | 一部の保険。sliding scale枠も少しあり |
| CA | 個人開業のLMFT(州内オンライン) | 50分$200(相談に応じる) | 保険可 |
| CA | 個人開業のLMFT(州内オンライン) | 50分$220(カップル・家族75分$300) | 記載なし |
| IL | 個人開業のLCPC(シャンバーグ) | 初回$170、2回目から$160 | 米国の保険を受け付け。sliding scaleあり |
| HI | 個人開業のカウンセラー(オンライン) | $90〜140 | HMSA、HMSA Quest(2026年5月時点で新規受付を停止中) |
個々のセラピストの名前と連絡先は、Group Withで州を選ぶと確認できます。初回30分を無料にしているセラピストもいます。料金はセラピストが自分で掲載したもので、変わることがあります。予約の前に、料金と保険が使えるかを必ず確認してください。
※ 掲載情報の更新日は2026年5月31日〜7月12日です(Group With)。Washington州(Bremerton・Redmond)、MD・VA・DCなどにも日本語のセラピストが掲載されています。
4. 保険で払うときに確認すること
- ネットワーク内かどうか:セラピストが自分の保険のネットワーク内(in-network)なら、自己負担はコペイや免責金額の範囲で済みます。保険会社のサイトの「Find a Provider」で、言語を「Japanese」にして探せることがあります
- ネットワーク外の場合:いったん全額を払い、セラピストが出す明細(superbill)で保険会社に払い戻しを請求する方法があります。superbillを出すと明記しているセラピストもいます。払い戻されるかどうかと割合はプランによるので、保険会社に「Do I have out-of-network benefits for mental health?」と聞いてください
- 日本の海外旅行保険・駐在員保険:使えるとしているセラピストもいます。ただし、契約の内容によっては精神科やカウンセリングが対象外だったり、持病として扱われたりすることがあります。保険会社に確認してください
- 勤務先のEAP:福利厚生にEAP(従業員支援プログラム)があれば、数回のカウンセリングを無料で受けられることがあります。詳しくは雇用主の福利厚生を使い切るを参照してください
5. 住んでいる州の資格を確認する
アメリカでは、オンラインのセラピーでも、原則として患者がいる州の資格を持つ人から受ける必要があります。ニューヨークに住んでいるなら、ニューヨーク州の資格を持つセラピストを選びます。
- PSYPACT:州どうしの協定です。加盟州の資格を持ち、PSYPACTの認可を受けた心理士(psychologist)は、ほかの加盟州の患者にもオンラインで心理サービスを提供できます。加盟州は変わるので、公式サイトの一覧で確認してください。LCSW・LMFT・LPCなど、心理士以外の資格は対象外です
- 日本の資格:日本の臨床心理士や公認心理師は、アメリカの州の資格ではありません。日本の資格だけで、アメリカに住む人に治療を提供できるとは限りません。日本からのオンラインカウンセリングを使うときは、アメリカ在住者に対応しているか、どんな資格の人がどんな内容のサービスをするのかを、事前に確認してください
- 引っ越しや長い旅行:別の州にいる間は、いつものセラピストのオンラインセッションを受けられないことがあります。事前に相談してください
6. 費用を抑える方法
- sliding scaleを頼む:収入に応じて料金を下げてもらえるか、最初の問い合わせで聞きます。「Do you offer a sliding scale?」と伝えれば通じます
- Open Path Collective:保険がない人や保険では足りない人向けに、低額のセラピーを紹介する非営利の団体です。公式サイトの表示では、1回$40〜70(カップル・家族は$40〜80、学生インターンは$30)、入会費$65(1回のみ)です。日本語を話すセラピストがいるかは、サイトで検索してください
- まず無料の窓口に相談する:JASSIやJB Lineなどの非営利団体は、低額のサービスや保険への加入も含めて案内してくれます
- HSA・FSAで払う:診断された精神疾患の治療のためのセラピーは医療費として、HSAやFSAのお金で払える場合があります。一方で、IRSは夫婦カウンセリングを医療費に当たらない例に挙げています。払う前に、プランの管理会社に確認してください。詳しくはHSAの積極活用を参照してください
7. 子どもと家族の相談
- JSPACC(Japanese Speaking Parents Association of Children with Challenges):ロサンゼルスの、発達などに課題のある子どもを持つ日本語話者の親の会です。年会費$40、相談は無料(Group With、2026年5月31日更新)
- ニューヨーク日本人教育審議会 教育相談室:電話・メールの相談は原則無料、面接相談は初回90分$150・50分$120です((914) 305-2411。Group With、2026年7月17日更新)
- IEP会議の通訳:特別支援教育の個別計画(IEP)の会議では、親が内容を理解できるよう、学区が通訳を手配するなどの対応をすることが連邦規則で決まっています(34 CFR §300.322(e))。学校に通訳を頼んでください
- Parent Center(PTI):障害のある0〜26歳の子どもの家族を支援するセンターが全米に約100か所あります。Parent Center Hubの「Find Your Center」で州ごとに探せます
8. 日本語のセラピストの探し方
- Group With「日本語で受けられる海外こころの相談機関・窓口」:国・州ごとに、日本語で相談できるセラピストや団体を探せます
- Psychology Today:セラピストの検索で、言語を「Japanese」に絞り込めます
- 保険会社のサイト:ネットワーク内のセラピストを、言語で絞り込める場合があります
まとめ
- こころの危機は988へ(無料・24時間)。日本語の通訳は電話で「Japanese interpreter, please」と頼む。命に危険が迫っているときは911へ
- まず日本語で無料相談できる窓口(JASSI、JB Line、あなたのいばしょなど)を使う
- セラピストの自費の料金は、掲載例で1回$100〜250。保険とsliding scaleを確認し、住んでいる州の資格がある人を選ぶ
まずは、自分の保険にメンタルヘルスの補償がどれくらいあるか、保険会社のサイトで確認するところから始めてください。
※ 本記事は2026年10月17日時点で確認できた公開情報(SAMHSA、988 Lifeline、National Domestic Violence Hotline、各団体の公式サイト、外務省の案内、Group With、連邦規則)にもとづく整理です。医療のアドバイスではありません。セラピストの料金はGroup Withの掲載情報(本人や団体による自己申告)で、変わることがあります。利用の前に、各窓口に料金と条件を確認してください。緊急時は迷わず988か911に連絡してください。
出典
- SAMHSA:988 FAQ:240以上の言語の通訳、通訳料は無料、支払い・保険情報は不要
- 988 Lifeline:英語以外の言語での利用:英語・スペイン語以外は電話のみ
- IRS:医療費に関するFAQ:診断された精神疾患の治療のためのセラピーは医療費、夫婦カウンセリングは当たらない(2026年10月17日確認)
- National Domestic Violence Hotline:電話・テキスト(START を 88788)・チャット
- JASSI:無料・日英バイリンガルの相談窓口、受付時間
- JB Line:電話・メール・受付時間、無料の定期の集まり(2026年10月17日確認)
- Little Tokyo Service Center:日本語サービス:カウンセリングの予約電話
- 外務省:あなたのいばしょ:2024年度の在外邦人の相談4,138件
- 在フィンランド日本国大使館の案内:2024年度から外務省が委託、24時間365日・無料・匿名のチャット
- あなたのいばしょ チャット相談
- Group With「日本語で受けられる海外こころの相談機関・窓口」:セラピスト・団体の料金と保険(2026年10月17日確認)
- Open Path Collective:1回の料金と入会費
- PSYPACT:加盟州の一覧:心理士のオンライン心理サービスの州間協定。利用には加盟州の資格とPSYPACTの認可が必要
- CAMFT:テレヘルスの規制:患者がいる州の資格が必要
- 34 CFR §300.322:IEP会議での通訳など、親の参加のための措置
- Parent Center Hub:Find Your Center